俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
先ほどの梨乃の言葉が頭から離れない。ふたりでの出張でかなり距離を縮められたと思っていたのは自分だけのようで、静かにショックを受けていた。

(信用されていないのかもしれないな)

彼女の目に自分がどう映っているのかを考える。

(初対面の時に唇を奪ったのがマズかったか。それともその後のアプローチが強引すぎたのか。まだ次の恋は始められないと言っていたよな)

溜息をついて執務机に椅子に座る。

宇津木については、富樫と人事部の社員に処分を考えている旨をメールで連絡しておいた。終業時間が過ぎているので対応は週明けになる。

黒見も今日はもう帰るつもりでいたのだが、予定が変わってしまった。

(梨乃を食事に誘うつもりだったが、今日は無理だな。断られそうだ)

デスクトップのパソコンに書類を表示させた。他社との業務提携の契約書で、先ほど制作の担当部署から上がってきたものである。

急ぎではないが内容に不備がないかのチェックを始めた。

それを終えた時、ドアがノックされて担当秘書で友人でもある五ノ森が入ってきた。

「そろそろ帰るけど、なにかある?」

「この契約書は確認済みだ。今月中に契約したいから、丸富士セーフネットの社長にアポを取っておいてくれ」

「了解」

五ノ森が執務机に背を向けた。いつもなら『おつかれ』と言って見送るところだが、今は忘れていた。

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