俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
(市原さんを指名してミーティングに出てもらおうと思ったんだけど、担当は別の人になると言われてしまったら引き下がるしかないよね。ほんと、どうやって情報を仕入れているんだろう?)

部署を出て一階ロビーに着き、社屋を出る前に携帯を開いた。

SNSアプリに黒見からのメッセージはなく、ため息をついてショルダーバッグに戻す。

(帰国したら和食屋につきあってくれと言ってたのに、忘れてしまった?)

もしくは行くつもりのない社交辞令的な誘いだったのかもしれない。

ミーティング室で宇津木と対峙したあの日以降、黒見からの連絡がパタリと止んだ。社内で見かけることもなく、もう半月以上会っていない。

多忙なのかもしれないが、見限られたように感じてしまうのは彼を好きになったせいだろう。

(やっぱり私のことは本気じゃなかったんだよ。ゴージャス美女を振るような人だもの、私程度で満足するはずないよね。大丈夫。私だって引き返せる程度の想いだったから。別につらくない……)

強がりを心で呟き歩き出そうとすると、「梨乃」と後ろから声をかけられた。

隣に並んだのは美波で、今から帰るところのようだ。

「おつかれさま」と言葉を交わし、一緒に社屋を出て最寄りの駅を目指す。

「梨乃、なにかあった?」

「なにもないよ。どうして?」

「さっき肩を落としてたように見えたから」

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