俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
鋭い観察力にギクッとしたが、あえて明るく笑った。

「寒空の下を帰るのが億劫だなと思ってただけだよ。プロジェクトは特に問題なし。まだまだ決めなきゃいけないことがたくさんあるけどね」

黒見の話はできないが、心の靄を晴らしたくて美波を食事に誘う。

「どこかで食べて帰らない?」

「ごめん。今日はちょっと。夫がカレー作って待ってるから」

早く帰宅した方が食事を作るという美波の夫婦の事情は、前に雑談の中で聞いていた。

それを忘れて急に誘ってしまい慌てて謝る。

「聞いてたのに、うっかりしてた。断らせてごめん」

「梨乃とゆっくり食事したいとは思ってるよ。今度、スケジュールを合わせて行こう」

「うん。ありがとう」

最寄りの地下鉄の駅に到着し、路線が違うため美波とはそこで別れた。

梨乃が利用している改札までは五分ほど歩かなければならず、駅地下のテナントを眺めながら歩いた。

すると若い女性で賑わっている店があって気になった。店内には色んな種類のチョコレートが陳列され、ハートのオブジェが飾られている。

(バレンタインチョコか)

あと半月ほどするとバレンタインデーだ。

自分には関係ないと思いつつも、賑わいに誘われるように足がそちらに向いた。

(見るだけ。この缶、可愛い。こっちは大人っぽくて素敵。あっ、これいいかも)

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