俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
ハーフサイズの赤ワインのボトルにビターチョコレートがついたセットだ。

ワイン好きの黒見の顔が浮かぶ。

(お礼に渡すのはどうだろう。出張では贅沢させてもらったから)

連絡する口実ができて喜んだが、すぐに冷静になる。

(この程度でお礼なんておこがましい。それに受け取ってもらえなかったら?)

いらないと言われてショックを受ける自分の姿が目に浮かんだ。それでも買わないのも後悔する気がして商品を手にレジへと向かう。

(渡せない可能性が強いけど、自分用にすればいいか)

黒見に会いたい気持ちと傷つきたくない気持ち、両方に折り合いをつけられる曖昧な決断をして購入した。



黒見からの連絡はないまま週末をひとりで過ごし、月曜日になった。

出勤すれば恋愛で心をいっぱいにしている暇はない。

今日はイベント広告の一部を依頼している広告代理店との打ち合わせがあり、木村とふたりでミーティング室に移動した。

約束の時間にはまだ数分早いため相手方はまだ来ていない。その会社はNCPグループと言い、業界内では中位の規模と年商である。

数ある広告代理店の中から選んだ理由は富樫の薦めがあったからで、担当者と会うのは今日が二回目だ。

(できればNCPグループ以外にしたかったけど、完全に私情だから避ける理由にはできなかったんだよね)

なぜなら元婚約者の牧本勇大の勤務先だからだ。

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