俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「誤解させてしまいすみません。実は今朝から頭痛で悩まされていまして。薬は飲んだんですけど効いてくれず痛みが顔に出てしまいました。お恥ずかしいです」

「そうでしたか。どうぞお大事になさってください。それでは我々はこれで失礼します」

ドア前に木村と並んで出ていくふたりを見送った。

それが済むと「大丈夫ですか?」と木村に心配された。

「なにか変だと思っていたんですけど、頭痛だったんですね」

「木村さんにもご心配かけてすみません」

「いえ、痛くてもほとんど宮内さんが話していましたし、僕は全然役に立てませんでした。やっぱり宮内さんはすごい人です。僕の中で完璧なリーダーです」

素直に騙されてくれた木村の讃辞をバツの悪い思いで受け取った。

「戻りましょうか」

ノートパソコンを抱えて廊下に出ると、また驚いた。

五メートルほど先に廊下を歩いている黒見の後姿が見える。

たちまち鼓動が加速し、喜びが溢れ出す。思わず呼び止めようとして慌てて心にブレーキをかけた。

(特に用もないのに、人目のある場所で声をかけたらダメだ。また恋人疑惑をかけられたら困るもの)

本心では声が聞きたくて仕方ない。誰にどう思われようとも声をかけて振り向かせたかった。

けれども黒見が迷惑そうな顔をするのではないかと思うと、勇気が出ない。

< 175 / 238 >

この作品をシェア

pagetop