俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
(やっと好きになった時に向こうの気持ちは冷めているなんて、笑い話みたい)

黒見とは逆方向へ歩き出す。どんどん離れる距離を背中に感じ、胸が苦しかった。

その夜、梨乃は1LDKの自宅マンションのリビングにいる。

広さは十二畳ほどでひとり暮らしにはちょうどいい。壁際にふたり掛けの白いソファがあってローテーブルとテレビボード、キャビネットは薄い色合いの木目だ。シンプルでスッキリとした印象のインテリアとなっている。

色気のないパジャマ姿でラグに座り、明日着る予定のブラウスにアイロンをかけながらテレビの音楽番組を視聴していた。

けれども考えているのは黒見のことだ。

(このまま自然消滅は嫌だな。想いを引きずりそうで。私から食事に誘ってみようか……って、つき合ってないのに自然消滅もなにもないか)

梨乃にできるのは黒見の心変わりを黙って受け入れ、CEOと末端社員という関係を続けることだけだ。

(勝手に期待したり落ち込んだり、恋をすると自分の気持ちをコントロールするのに疲れる。悩みたくないのに……。よし、アイロンがけが終わったら缶酎ハイを飲んで寝よう)

そう思った時に携帯が鳴った。SNSアプリにメッセージが届いた通知音で、大袈裟なほど肩をビクつかせてしまう。

(誰から?)

ここのところ携帯が鳴るたびに黒見からではないかと期待し、そのたびにがっかりしていた。

< 176 / 238 >

この作品をシェア

pagetop