俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
すると勇大に声に活力が戻ってしまう。

『もう一度信じてもらえるように努力する。諦めないよ。俺の運命の相手は梨乃だから。なんどフラれても全力で愛を取り戻す。だから――』

「ちょっと待ってよ。勇大の運命の相手が何人いてもいいけど、その中に私を入れないで。努力されても困るし、迷惑だから家まで来ないでよ」

『苦情は直接聞く。帰ってきて。ずっと待ってるから』

一方的に言われて電話が切れた。

「困ったな。これじゃ帰れない……」

独り言を呟いて額を押さえた。今日はビジネスホテルに泊まればいいが、明日からはどうすればいいだろう。

(引っ越す? 意味ないか。勤務先を知られているもの)

会社帰りに後をつけられたら、何度引っ越しても突き止められてしまう。

元婚約者なので実家の住所も知られているからそっちに一時的に避難もできず、ビジネスホテルを渡り歩けば生活費が心配だ。

泊めてくれそうな友人たちはいるけれど、こんな情けない事情を知られたくない。

(今さらどうしてこんなに困らされないといけないのよ。顔を合わせたら、マジでぶっとばしてしまいそうなんだけど)

額から外した手を握りしめると、指がポキポキと鳴った。

すると右隣のスーツ姿の男性客が振り向いて突然声をかけてくる。

「宮内さん、おつかれさまです」

「えっ? あ、あなたは黒見CEOの――」

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