俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「じきにわかります。映画の続きが気になっていまして、観てもいいですか?」

「はい。どうぞ」

耳にイヤホンをして本当に映画を見始めた彼をポカンとして見つめた。

お節介な雰囲気を醸し出しておきながら、その無関心ぶりは一体なんなのか。

よくわからない人だと思い、そういう人だから黒見の秘書を務められるのではないかと感じた。

(黒見CEOもよくわからないことを言う人だもの。秘書が秘書なら上役も上役、そんな感じ。お似合いかも)

それから十分くらいして五ノ森が携帯をポケットにしまった。映画が終わったのかと思ったが違うようだ。

「予想より五分早い。随分と急いで来たようです」

(奥さんのこと?)

その直後に店のドアが開いた。濃いグレーのスーツ姿の男性が、コートを小脇に抱えて険しい顔で入ってくる。

「えっ!? 黒見CEOを呼んだんですか?」

「そうです」

たちまち鼓動が高まり、顔が熱くなる。

黒見がこちらへ来ると、交代だとばかりに五ノ森が立ち上がった。

「五ノ森さん、奥様と待ち合わせをされているんですよね?」

恋心を自覚している今は黒見を意識しすぎて変に緊張し、ふたりきりにされるのが怖い。

五ノ森を引き留めようとして声をかけたが、素っ気なく返される。

「駅に着いたと妻から連絡があったので失礼します」

(本当に?)

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