俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
気を利かせたのではないかと怪しんだが、そう言われては引き留められない。

五ノ森は黒見になにも言わず、会釈もせずに店外に出ていった。

不遜にも思える態度だが、黒見はまったく気にしていないようだ。

(もしかして親しいの?)

隣に座った黒見になにか話さなくてはと焦り、とりあえずの疑問を投げかけた。

「五ノ森さんとは業務以外でも会ったりするんですか?」

「ああ。学生時代からの友人だ。そのおかげで連絡をもらえて助かった。梨乃の窮地を後から知るのは情けないからな」

助ける気があるということだろうか。

(男に守られるような弱い女は嫌いでしょう?)

彼に嫌われるのを恐れて、宇津木とのトラブルの時にも言った台詞をもう一度口にする。

「私は助けられたくありません」

黒見が真顔で頷いた。

「わかってる。それでも俺は助けたい。お前が好きだから」

(私のこと、どうでもよくなったんじゃなかったの……?)

まだ好きでいてくれたと知って歓喜に胸が震えた。

梨乃の気持ちを知らない彼に早く伝えたくなったが、後ろのテーブル席の楽しそうな会話が聞こえてきてハッと我に返る。

いつの間にか梨乃の左隣にも客がいて、店内は文字通りの満席だった。

(ここで告白するのは無理。というか、黒見CEOはよく平然と言えたね)

周囲を気にして彼に言う。

「場所を移しませんか? ここだと話しにくいので」

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