俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「それなら俺の家に来ないか?」

「えっ……」

「なにもしないと約束するが、信じられないなら別の――」

「ご自宅におじゃまします」

黒見の言葉を遮ってまでの即決が意外だったのか、目を見開かれた。けれどもすぐに「決まりだ」と彼が席を立つ。

梨乃も立ち上がり、黒見に続いて店を出る。駅前で客待ちをしているタクシーに乗り込むと、ニューヨーク出張の車内で食べたホットドッグの味とあの時の気持ちを思い出した。

(雲の上の人じゃなく私と同じ地に足をつけて堅実に歩いている人。だから気持ちを伝えて交際を……やっぱり無理かも)

なにがネックなのかというと、こんな女だとは思わなかったと早々に別れを告げられる気がするからだ。

(私、あなたが思っているような強い女じゃないから)

タクシーに二十分ほど揺られ、着いたところは高級住宅街だった。

コンシェルジュ付きの高層マンションの最上階が彼の自宅で、驚くというより妙に納得した。

(セレブすぎる懐事情には今さら驚かないよ)

エレベーターで最上階へ。マンション内なのに玄関前に門があり、玄関ドアは電子錠だった。

「おじゃまします」

黒大理石の玄関は広く、続く廊下の左右にはドアがいくつもある。

リビングに通され彼が照明をつけると、信じられないほどに広かった。カーテンが閉められていない窓からの夜景は絶景だ。

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