俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
その理由は言えないので、「どうでしょうね」とはぐらかした。

それ以上は追及されず、黒見がキッチンでなにかを作り始めた。

「あっさりしたメニューなら食べられるな?」

「はい。あの、黒見CEOが料理するんですか?」

「ああ。これも意外か?」

「そうですね」

「子供の頃から料理はしてきた。今は外食の方が多いが」

(子供の頃から?)

早めに自立を促そうという家庭方針だったのだろうか。梨乃は独り暮らしを始めるまでまったくと言っていいほど料理をしなかったので、感心しながら聞いていた。

しばらくするといい香りがしてきた。気になってキッチンまで見にいくと、黒見が鍋の蓋を開けてくれた。

中には具だくさんの白いスープが入っている。

「クラムチャウダーだ」

「そんなの作れるなんてすごいです」

「簡単だぞ。もうできたからよそってくれ」

「はい」

真っ白なカフェオレボウルのような器にふたり分のクラムチャウダーをよそっている間、彼はロールパンを皿にのせ、デパ地下に売っていそうな海老入りサラダのパックを冷蔵庫から出していた。

「まるで朝食メニューだな」

「私の朝はトーストと野菜ジュースだけですよ。豪華に感じます」

「それならいいが」

ダイニングテーブルに向かい合って座り、食事をする。クラムチャウダーはホッと心が休まる味がして、かなり緊張が和らいだ。

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