俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
同級生だと答えたが、木村が言った名字は覚えのないもので首を傾げた。
すると美波が少し笑った。
「結婚したから今は菅だよ」
「そうだったんだ。おめでとう」
「ありがとう。と言っても、結婚してから二年も経つけどね」
梨乃は結婚しているのかと聞き返されなかった。
もう立ち直っているから気遣いはいらないのにと思ったが、美波はこちらの事情を知らないので一般的な配慮だろう。
お互いの近況や思い出を話したくなる。
けれども他部署のプロジェクトメンバーが続々と入ってきたので、雑談を切り上げた。
美波の隣の席に座ると、こっそりと付箋を一枚渡される。
そこには私的な連絡先が書かれてあり、梨乃は大切にメモ帳に挟んで口角を上げた。
打ち合わせは四十分ほどで終わり、木村と一緒にミーティング室を出た。
旧友との再会でまだ気分が少し高揚している。
切れたはずの縁がまた繋がった。大げさかもしれないが運命的なものを感じる。
昼休みになったら早速連絡してみようと思いつつ階段に向けて廊下を進んでいると、なぜか木村まで興奮気味の顔をしていた。
「宮内さんは、すごいですね!」
「えっ?」
「プロモーションの問題点を指摘してくれたじゃないですか。危うくミスリードするところでした。本当にありがとうございます。打ち合わせ前にざっと説明しただけでしたのに、どうして僕より見通せているんですか?」