俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「俺がバカな気を起こさずに梨乃とあのまま結婚していたらと、よく考えるんだ。同じ飯食って他愛ない話をして隣で寝て。子供ができたら親は初孫に泣いて喜ぶだろうな、とか。俺は仕事をがむしゃらに頑張って、でも飲み会とかは行かずに急いで妻子のいる家に帰るんだ。そんな温かい家庭を作れたはずなのに……」

(叶わない妄想をして自分を慰めてるの? なんか可哀想になってきた)

さっさと終わらせるつもりだったのに、気づけば未練がましい話を一時間半も聞いてしまった。腕時計の針は二十一時を示している。

(そろそろ帰りたい。これだけ話せばスッキリしたよね?)

オレンジジュースのグラスには氷がとけた水が入っているだけだ。店内も混んできて、テーブル席はすべて埋まっていた。

「そこまで私を想ってることはよくわかったよ。だから、もういい?」

「やり直してもいいってこと?」

「違うよ。帰っていいか聞いてるの。復縁はないって何度も言ってるでしょ」

「待って。もう少しだけ聞いてくれ。俺、本当に後悔してて、運命の人が梨乃なんだってやっと気づいたんだよ」

(振り出しに戻った……)

溜息をついて立ち上がる。

「梨乃、待って、頼む!」

「お手洗いに行くだけだよ」

「そう言って帰る気なんだろ」

「違うって。疑うならバッグ置いてくから」

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