俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「将吾、どうした? 飯食いに行くんだろ?」

「ああ」

先を見通せない感覚を久しぶりに味わっている。

わからないなら直接話して確かめればいいだけだと自分に言い聞かせ、執務椅子を立った。



* * *



入社から八日が経ち、梨乃にはもう指導役はついていない。

ここは本社六階のマーケティング部で、白とグレーを基調とした広くスッキリとしたフロアに六人掛けのテーブルが九つ置かれていた。

フリーアドレスなので自由席だが、定位置を決めている社員もいる。

先週はそれを知らずに適当な席を選び、『そこは私がいつも使っているの。どけてもらえる?』と先輩社員に冷たい笑顔を向けられてしまった。

それ以降は入口に一番近い席に座っている。

人の出入りに気が散るため誰も選ばないと思ってのことだ。

時刻は九時始業の二十分前で、ノートパソコン開いた梨乃は昨日打ち出したウェブ広告の効果をチェックする。

早めに出社して情報収集しておけば、余裕を持って業務に入れるからだ。

(うん。再生回数はまずまずの伸び率)

マーケティングの仕事を簡単に説明すると市場を調査して分析し、それを反映させた戦略を提案することである。

SNSに挙げている広告の閲覧回数やシェア数、高評価数を調べるのも仕事の内だ。

(こっちは全然伸びてない。見直しが必要かも。他のプラットホームはどうだろう)

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