俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
なるほどと思う一方で、同部署の先輩社員なのでフォローの言葉を探した。

「でもデートを断られたからって、宇津木さんに悪いイメージがつくような噂を広めてしまう男性たちもどうなんだろう」

腹いせはいただけないと眉根を寄せると、美波が声の大きさを戻した。

「あっ、違うよ。噂の出所は市原(いちはら)さんだから。デートに誘われたり告白されたりしている現場を偶然、何度か見かけたんだって」

「市原さんって?」

「もちろん財務部の市原さんだよ」

その人も社内で有名なのだろうか。知っていて当然のような口ぶりだが、梨乃は面識がない。

首を傾げたその時、注文したランチセットが運ばれてきた。

手長海老のトマトクリームスパゲティをフォークに巻きつけて口に入れると、抜群の美味しさにとろけそうになる。

けれども、ふた口目は味わう余裕がなさそうだ。

「でね」と美波がまた声を潜めた。

「お高く留まっているイメージも割と知られてるけど、それより有名なのはCEOと付き合っていたという噂の方」

思わずフォークを止めて目を見開いた。

(宇津木さんが黒見CEOと?)

過去形なので今は恋人ではないのだろう。

美男美女でお似合いのような気もするが、なぜか不快感が湧く。

(どうして嫌な気分になるの?)

ニューヨークで助けられたからといって、黒見に惹かれてはいない。

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