俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
片想いの相手に完全スルーされるのは気の毒だと思うが、相手の迷惑も考えず嘘の噂を流す人と親しくなれそうにない。自分の利益しか考えていないタイプは苦手だ。
すっかり話し込んでいたが、腕時計を見るとあと五分ほどで戻らなければならない時間になっていた。
急いでミニケーキを食べながら言う。
「美波も変わってないよ」
「どの辺が?」
「『絶対大丈夫。私が保障する』って昔もよく言ってた。その通りになった試しがなかった気がする」
「えっ、覚えてない」
どうやら自分のことになると忘れてしまうものらしい。
お互いに性格の根幹は変わっていないという結論が出たところで、楽しかったランチタイムが終了した。
社屋に戻って最初の仕事は広告代理店とのウェブ会議だ。
クリアボードで間仕切られた専用のブースが部署の端にあり、そこで二十分ほど打ち合わせて出ると、マネージャーの富樫(とがし)に呼ばれた。
「宮内さん、今いい?」
「はい」
マネージャーは部長に相当する役職で、富樫は柔和な面立ちの四十歳の男性だ。
大企業の管理職はもう少し年齢が高いイメージを持っていたが、この会社では年齢と役職に関連性はない。なにしろトップに立つ黒見が三十六歳なのだから。
富樫が座っているテーブルに近づいた。
「今の打ち合わせについてでしょうか。二日なら前倒し可能とのことでした」