俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
広告代理店にはCM作成を依頼しており、納期を早められないか確認するように言われていた。

けれども富樫の用件は他にあるようだ。

「それじゃないんだ。黒見CEOが宮内さんと話したいそうで、私のところに連絡が来た。今から執務室に行ってほしい」

「えっ」と驚きの声を漏らし動揺する。

黒見との再会はちょうど一週間前だ。あれから顔を見ていないし、もちろん言葉も交わしていない。

あの時は僻地の代理店に飛ばされる心配をしたが、今日まで音沙汰がなかったので安心していた。それなのに呼び出されたということは――。

(この一週間は私の異動先を探していたとか? それとも自主退職を勧められたりして。いくらなんでもそれは横暴か。キスしてきたのはあっちからだし。単なる口止め程度ならありがたいんだけど……)

「あの、CEOのご用件は?」

恐る恐る問うと、富樫が手元のパソコン画面に視線を移した。

「書かれていないからわからないけど、身構えなくていいと思うよ。宮内さんはすでに期待以上の働きをしてくれているから。納期の前倒しの交渉もありがとう。助かるよ」

軽く頭を下げて富樫のそばを離れた。

(正直、逃げたいけど……)

末端社員がCEOの呼び出しを断れるはずがない。

爪先を部署の出入口の方へ向けると、横から強い視線を感じて振り向いた。

五メートルほどの距離の席から睨んでいるのは宇津木だった。

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