俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
おそらく富樫との会話が聞こえていたのだろう。入社して日の浅い新人がどうして黒見に呼び出されるのかと言いたげに見えた。

美人の睨みは迫力があり、思わず首をすくめる。

(もしかして、嫉妬されてる?)

異動を命じられそうでヒヤヒヤしているというのに、なぜ妬まれなければいけないのか。

そう思ったが、ランチで聞いたばかりの話を思い出したため宇津木の気持ちが想像できた。

捨て身の攻めに出たのに完全スルーされた彼女からすると、どんな理由の呼び出しであっても羨ましいのだろう。

(悔しさをぶつけないで。こっちはそれどころじゃないんだから)

宇津木の視線から逃げるようにして部署を出た。

エレベーターに乗り込むと、他部署の男性社員ひとりが先に乗っていた。

階数を聞かれたので十五階だと答えると、少し驚いた顔をされる。

最上階は重役の執務室と秘書課しかないからだ。

なんとなく恥ずかしく、理由を尋ねられたわけでもないのに「秘書課に用がありまして」と言い訳した。

エレベーターを降りると緊張しながら廊下を進み、まずは秘書課のドアをノックした。

対応に出てくれた秘書は三十代半ばくらいに見える眼鏡をかけた男性で、部署名と名前を告げるとそれだけで話が通じた。

「黒見CEOから伺っています。こちらへどうぞ」

< 41 / 238 >

この作品をシェア

pagetop