俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
自社商品を売り込むためのアプローチ方法を模索している中で、基礎作りなどと言われたらそうなるのも無理はない。

けれども黒見だけは面白そうに口角を上げている。

「宮内のいう若い世代の具体的な年齢は?」

さすがはCEOだ。そこが一番の肝なのを見抜いてくれたと感じ、張りきって答える。

「高校生です」

部署の社員たちがザワザワする。親の同意がなければ保険契約できない年齢層をターゲットにイベントをしかけるとは前代未聞である。

宇津木には鼻で笑われた。

「高校生? 契約できない年齢に売り込もうなんて、バカ言わないでよ」

「先ほど私は保険勧誘はしないと言いました。基礎作りですので、このイベントの成果を測れるのは数年後、参加した高校生が社会人になって働いてからになります」

いわば長期戦略だ。

「宮内さんは気長なのね。富樫マネージャー、話をもとに戻してよろしいでしょうか。先ほどの分析値は二パーセント減らした方で考えますと――」

梨乃のプレゼンはこれ以上聞く価値はないと言われたようなものだった。

富樫はなにかを考えているような難しい顔をしている。

止めてくれないので宇津木と同意見なのかと残念に思っていると、黒見が口を開いた。

「待て。勝手に話を戻すな」

「で、ですが――」

戸惑っているような宇津木には構わず、黒見が梨乃をじっと見て片側の口角を上げた。

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