俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
先週連絡先を交換し、電話がかかってきたのはこれが初めてだ。

兄に背を向けて緊張しながら電話に出ると、低めのいい声がした。

『黒見だ。新年早々すまないが、明後日からの出張の確認事項がいくつかある。今、いいか?』

「はい。お伺いします」

正座をして背筋を伸ばしたのが見えたかのように指摘される。

『なぜ緊張する? 業務時間外だ。もっと楽に話せ』

「そうおっしゃられましても、黒見CEOはCEOですので」

『プライベートでは対等に話したいんだが。先週のようにな』

レストランでの会話を思い出していた。彼の口調に不機嫌そうな響きはないが、失礼な発言の数々に冷や汗をかいた。

「飲みすぎて酔っていたもので……あの時は大変失礼いたしました」

『どうすれば楽に話せるようになる? また酔わせればいいのか?』

フッと笑う声が聞こえたので、梨乃も緊張を和らげた。

心に余裕ができると、少しだけ口調を崩してみたくなる。

「それではお言葉に甘えて、今は楽に話させてもらいます。あ、言いそびれていました。黒見CEO、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

『おめでとう。よろしくな。宮内は今、自宅にいるのか?』

思いがけず声を聞けたのがなぜか嬉しくて、出張の確認を後回しにしてしばし雑談する。

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