俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
イベントとレセプションパーティーは明日の日曜だが、米法人のCEOにアポイントを取っているそうだ。

その面会に梨乃は同行しなくていいそうなので、アメリカのクライフ本社の見学をお願いしていた。

黒見と並んでタクシーの後部シートに座っている。ひとり旅であちこちを観光したので車窓を流れる景色には見覚えがあった。

万国旗がはためいているのはロックフェラーセンターだ。建物の前の広場にはアイススケートの屋外リンクがあって、多くの市民や観光客が楽しんでいた。

この建物の冬の名物はネオン輝く巨大なクリスマスツリーなのだが、ひとり旅をした時はまだ設置前だった。クリスマスは先週終わっているのでこの出張でも見られず、少々残念に思う。

「黒見CEOは――」

名物のクリスマスツリーを見たことがあるかと聞こうとして振り向くと、彼は膝の上にノートパソコンを置いて仕事をしていた。

「すみません」

邪魔してしまったのを謝ったが、視線を画面に据えたままの彼に続きを促される。

「言いかけてやめられると気になるだろ。なんだ?」

「冬に二回も来たのにロックフェラーセンターのクリスマスツリーを見られなかった、というただの愚痴です」

「次のクリスマスまで待ってろ。連れてきてやる」

「出張を組むということですか?」

「必要があればな。なければプライベートで来ればいい。俺とふたりで」

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