俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
思わせぶりなことを言った自覚はあるようで、梨乃の反応を窺うように視線を流された。

美貌から繰り出される流し目は、なかなかの攻撃力だ。

これから仕事だというのに鼓動が加速し、落ち着くために車窓に顔の向きを戻す。

「考えておきます」

小声でボソッと答えると、ククッと低く笑われた。

「意外だな。即答で断られると思っていたんだが。どんな心境の変化だ?」

このまま攻めていけば落とせると思っていそうな自信に満ちた口ぶりだ。

悔しいけれどそれはないと自信を持って言えない自分に気づき、静かに焦りだす。

(恋に落とされたらどうしよう。こっちが本気になった途端にあっさりと捨てられそうで怖い)

絶対に好きにならないと自分の心に言い聞かせ、車窓の冬景色のみに意識を向けようとした。

十五分ほどして、クライフ米法人の本社ビルに着いた。

「すごいですね……」

「高さか?」

そびえたつ近代的なビルは八十階あるそうだ。

この地区は超高層ビルが建ち並んでいて、世界ビジネスの中心地と言っても過言ではない。

タクシーを降り黒見に続いてエントランスをくぐる。気後れしている梨乃とは違い、彼は自然体だ。

(慣れていて当然か)

クライフ・ジャパンのCEOに就任する前はここに勤めていたという話を前に木村から聞いた。

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