幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜
美風は恋を家まで送ると言って聞かなかった。
夕方になって家へ向かって2人で並んで自転車を漕いでいる時、美風が言った。
「こういう楽しい日が、ずっと続けばいいのに。新田さん、次はいつ遊びに来てくれる?」
「いつでも。樋山くんの都合の良い日に。」
「今度は母さんをちゃんと紹介するよ。いっつも新田さんの事を聞かせてあるから、あっちは結構新田さんを知ってるんだけど。母さんも新田さんの事かなり気に入ってるし、気にしてるよ。」
「そうなんだ」
恋は、ふと空を眺めて呟いた。
「……」
「どうしたの?」
「なんかこの空、あの絵みたい。」
美風が空を見上げると、頭の上に、あの画家の絵そっくりな鮮やかな夕焼けが広がっている。
「不思議」
「ね」
「運命、とか感じたりして」
恋は言った後でとちょっと照れて髪を触った。
美風が機嫌よく嬉しそうに頷いたのが先だった。
「絶対そうだ。新田さん、僕たち運命だよね。」
空が光って、風が吹いてきた。