幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜




 玄関に出ていくと、余所行きを着た理央と明日香と多紀が居た。



「準備できた?。恋。」

「うん。」

「そのワンピース、可愛いね。樋山くんに見せるためなら、上野くん妬いちゃうよ。」

「上野は行かないの?」



 多紀の言葉に、恋は、曖昧に頷いた。

 説得すると、宗介は行くとも行かないとも言わなかったが、時間になっても現れなかった。


「今日バスだよ。駅前のホール貸し切りだって。」

 
 明日香が言った。



「ピアノなんて滅多に聞く事ないしな。だから俺今日ややロマンチックな気分になってる。余所行きモードだし。」

「駅前の花屋で花束買っていこうよ。代表して恋が渡せばいいでしょ。小さい花束が売ってるよ。」

「どんな曲弾くのかなあ、樋山くん」

「楽しみだよね。」



 バスを降りると、恋達は花屋に寄ってから、駅のすぐ近くのリサイタルホールに入った。


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