幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜


 



 
「どうしたの?。宗介。」


 恋が聞くと、宗介は真っ直ぐな目で恋を見つめた。

 揺るがない黒い瞳、この目は恋に懐かしい。


 
「お前が好き。」

「へ?」



 囁く様な声に、恋は目をパチクリした。



「なんて言った?」

「だから」



 宗介は怒り笑いした。



「樋山とお前の演技腹立つし、お前がそういう風に何にも気付かないでぼけっとしてるのも嫌。苛々すんだよ。」

「どういう事?」

「しつこい。分からない振りをしてるんじゃないだろうね。」

「……?。」



 宗介は苛立った顔で一呼吸置くと言った。



「やっぱり訂正。僕お前大っ嫌い。」

「……え、」



 困惑した顔をした恋に、宗介は今度は呆れ顔をした。


「あのさ、意味分かれよ。」


 宗介は黒髪をくしゃくしゃ毟った。


「ああ、もう。言うの出遅れて、超面倒くさい。お前が悪いんだからな。」


 宗介は苛立った表情で腕組みした。


「これからずーっと、僕がお前を守る。何があっても。大昔からお前を守ってやってきたのは僕なんだから。一生そうする。僕と付き合って。意味分かった?」

「……。」

「……。」

「……えっ宗介私を好きなの?」




 驚いた声を出した恋に宗介は怒り笑いした。



「演技一緒にいちゃいちゃされるの、超イラッと来んだよ。今日で終わってほっとした。」


 意思に満ちた優しい声。

 この声も、恋には懐かしい。


「お前は樋山のお姫様なんかじゃない。」


 宗介は微かに首を傾げた。



「樋山に言えよ、恋人居るって。僕浮気は許さないから。二股かけて楽しもうっていったってそうは行かないからね。」

「それは……」

「なあに?。」

 

 


 着替えを済ませた美風は通路を戻ってきていた。



 ────演劇は大成功。わざとふざけたら観客を楽しませることができた。まあまあかな、本気ではやっていないけど。



 そこで、美風は恋と宗介を見つける。

 
 宗介の手のひらを壁にした恋。
 照れくさそうな笑い。


 むっとした美風は口を開いた。


「新田さん」


 宗介が美風に気付いた。


「僕が居ない間に、一体何をやっているのかな?」




 三角関係は永遠に続いた、と書いてこの話を終わる。










おわり
 



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