社内では秘密ですけど、旦那様の溺愛が止まりません!
昼休みになり、広報課の課長に呼び出された。
「渡辺くん、少し話せる?」
「は、はい!」
小さな会議室に呼ばれる。呼ばれた内容はもちろん亮くんのことだろう。
課長は声を潜めて言った。
「SNSの件、上層部でも確認してる」
「はい」
「浅賀くん本人には、何も言わない方がいい。社長も、今は静観するって言ってるから」
「……はい」
(静観って、どういう意味……?)
胸の奥がざわざわする。
「渡辺くん、あの写真を選んだのは君たちチームだろ? 責めてるわけじゃないけど……今は何も余計な発言をしないように。頼むね」
「……わかりました。すみません」
そうは言ったが、亮くんの耳にはすでに入っているはず。それに私が何か発言してもしなくても事態は変わらない。私たちの意思とは違うところで物事が動き始めているのを感じざるを得なかった。
課長の話が終わり、広報課へ戻る途中の開発部の廊下で亮くんを見かけた。
少し硬い表情を浮かべ、脇見をせずにパソコンに向かって仕事をしていた。そんな彼の周りでは、同僚たちが小声で話してい出るのが聞こえてくる。
「“浅賀=社長の息子説”って、やっぱガチなのかな」
「まさか〜。でも似てたよな、あの写真」
「この前の“メガネなし”を見たからこそ、俺もそうなんじゃないかと思った」
絶対に亮くんにだって聞こえているはず。彼らだって亮くんの反応が見たくてわざと近くて話しているのだろう。でもそんな会話には素知らぬ顔で仕事をしていた。
私にはそんな彼がいつもより少しだけ強張って見えた。
「渡辺くん、少し話せる?」
「は、はい!」
小さな会議室に呼ばれる。呼ばれた内容はもちろん亮くんのことだろう。
課長は声を潜めて言った。
「SNSの件、上層部でも確認してる」
「はい」
「浅賀くん本人には、何も言わない方がいい。社長も、今は静観するって言ってるから」
「……はい」
(静観って、どういう意味……?)
胸の奥がざわざわする。
「渡辺くん、あの写真を選んだのは君たちチームだろ? 責めてるわけじゃないけど……今は何も余計な発言をしないように。頼むね」
「……わかりました。すみません」
そうは言ったが、亮くんの耳にはすでに入っているはず。それに私が何か発言してもしなくても事態は変わらない。私たちの意思とは違うところで物事が動き始めているのを感じざるを得なかった。
課長の話が終わり、広報課へ戻る途中の開発部の廊下で亮くんを見かけた。
少し硬い表情を浮かべ、脇見をせずにパソコンに向かって仕事をしていた。そんな彼の周りでは、同僚たちが小声で話してい出るのが聞こえてくる。
「“浅賀=社長の息子説”って、やっぱガチなのかな」
「まさか〜。でも似てたよな、あの写真」
「この前の“メガネなし”を見たからこそ、俺もそうなんじゃないかと思った」
絶対に亮くんにだって聞こえているはず。彼らだって亮くんの反応が見たくてわざと近くて話しているのだろう。でもそんな会話には素知らぬ顔で仕事をしていた。
私にはそんな彼がいつもより少しだけ強張って見えた。