セレナーデ
「何かあった?」
尋ねてみると、小さく首を振った。
「いや」
「本当に?」
「本当は、君が他の男から誘われて店に入ったら嫌だなと思って来てみた」
もっと不穏なことを言う。
そういうことは、一望の周りでは当たり前に起こり得る事象かもしれないけれど、一般的なことではない。
況してや、わたしにはもっと当てはまらない。
「天地をひっくり返してもそんなことは起きないから安心して良いと思う」
「天地をひっくり返したら、僕らは海で生活することになるのかな」
いや知らんけど。
呑気な思考に振り回される。