敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
ひとしきり泣いた美絃は、すっかり冷めてしまったハーブティーを口にする。
「新しいものを淹れてくる。少し待ってて」
美絃はキッチンへと向かう千尋を目で追う。
そう言えば、彼が両親に話さなければ、初めて会った日の出来事なんてすっかり忘れていた。
三年前に海外支社から本社勤務になった彼は、話題の人だった。
見るからにイケメンだし、実績をぶら下げて栄転したというだけでも噂の的だが、彼は仕事に一切の妥協を許さないと有名で、ついたあだ名は『鬼軍曹』。
滅多なことじゃない限り笑わないし、冗談も言わないと有名だった。
そんなストイックすぎる部長に怒られないようにと、依頼のデータ集計はいつも、ビクビクしながらチェックにチェックを重ね、少し多めにデータを纏めてた。
それを『凄く助かったよ、ありがとう』と必ず丁寧に御礼を言ってくれた。
他の社員から御礼がないわけではないけれど、部長からのそれは特別感があった。
だってそれは、私がどこに力を入れて頑張ったのか、きちんと把握して評価してくれたからだ。
いつしか部長からの誉め言葉のような御礼が、唯一のご褒美みたいな位置づけになっていて、仕事をする原動力になっていた。
「早速だが、今日からここに住むよな?」
「はい?」
「ご両親がいつ来てもいいように、恋人として……いや違うか。婚約者として二人で生活している姿を見せてあげないと心配するだろう?」
「……そうかもしれませんが」
「既に二年も付き合っていることになっているのに、会食したら別れたなんてことになったら、ご両親が逆に申し訳なく感じてしまうぞ?」
「……っ」
「それに、彼がいるかもしれない家に帰るつもりか?」
「ッ?! ……さすがに、それは……」
「新しい家を探すにしたってすぐは無理だし、ホテル住まいなんて馬鹿げてる。ここなら、空いてる部屋もあるし、会社からも近いし、こんな優良物件ないと思うぞ?」
『俺は優良物件だぞ』と言わんばかりに、小首を傾げて誘惑的な視線を向けて来た。
「新しいものを淹れてくる。少し待ってて」
美絃はキッチンへと向かう千尋を目で追う。
そう言えば、彼が両親に話さなければ、初めて会った日の出来事なんてすっかり忘れていた。
三年前に海外支社から本社勤務になった彼は、話題の人だった。
見るからにイケメンだし、実績をぶら下げて栄転したというだけでも噂の的だが、彼は仕事に一切の妥協を許さないと有名で、ついたあだ名は『鬼軍曹』。
滅多なことじゃない限り笑わないし、冗談も言わないと有名だった。
そんなストイックすぎる部長に怒られないようにと、依頼のデータ集計はいつも、ビクビクしながらチェックにチェックを重ね、少し多めにデータを纏めてた。
それを『凄く助かったよ、ありがとう』と必ず丁寧に御礼を言ってくれた。
他の社員から御礼がないわけではないけれど、部長からのそれは特別感があった。
だってそれは、私がどこに力を入れて頑張ったのか、きちんと把握して評価してくれたからだ。
いつしか部長からの誉め言葉のような御礼が、唯一のご褒美みたいな位置づけになっていて、仕事をする原動力になっていた。
「早速だが、今日からここに住むよな?」
「はい?」
「ご両親がいつ来てもいいように、恋人として……いや違うか。婚約者として二人で生活している姿を見せてあげないと心配するだろう?」
「……そうかもしれませんが」
「既に二年も付き合っていることになっているのに、会食したら別れたなんてことになったら、ご両親が逆に申し訳なく感じてしまうぞ?」
「……っ」
「それに、彼がいるかもしれない家に帰るつもりか?」
「ッ?! ……さすがに、それは……」
「新しい家を探すにしたってすぐは無理だし、ホテル住まいなんて馬鹿げてる。ここなら、空いてる部屋もあるし、会社からも近いし、こんな優良物件ないと思うぞ?」
『俺は優良物件だぞ』と言わんばかりに、小首を傾げて誘惑的な視線を向けて来た。