敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
 美絃は混乱する状況を必死に整理する。
 誠二との関係はもう完全に終わっている今、住む家を探すのが最重要課題だが、すぐのすぐに引っ越しできるか? と聞かれれば、答えはノーだ。
 結婚資金にと貯金はしているが、誠二と折半で生活していたからできたようなものだ。
 今後独り暮らしをするとなれば、生活に余裕がなくなる。
 それだけじゃない。
 恋人と同棲している体になっているから、間取りだってそれなりに必要になるし……。

 悶々と悩みあぐねた結果、彼が提案する『このマンションで同棲生活を送る』のが一番手っ取り早くて、完璧な条件だった。

「分かりました。……今日からお世話になります」

 緊張と恥ずかしさと戸惑いと不安と……色んな感情が入り混じって、美絃は硬い表情になっていた。

「そんな緊張しないで。今日の今日に取って喰ったりしないから」
「ッ?!!」

 冗談だと分かっているけれど、思わず反応してしまう。
 だって、相手はずっと憧れていた相手だ。
 フェロモンというのだろうか?
 至る所から駄々洩れ状態で、色気がそこら中に散漫している気がするのは……。

(でも、何故私を助けてくれたんだろう? 困っていたから……だけでは、あまりにも都合よく解釈しすぎよね?)

 あまりにも非現実的な今の状況に、美絃は脳内をフル回転させても答えが見つからなかった。
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