敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
 センシティブな問題にズカズカと土足で踏み入るような母親の言動に、さすがの美絃も頭を抱えた。
 おっとりしていて控えめな父親。
 それとは反対にアクティブすぎる母親。
 いい意味でバランスが取れた夫婦なのかもしれないが、見るからに育ちのいい千尋。
 田舎のおばさん丸出しの言動に、美絃は顔から火が噴き出そうな感じだ。

「では、お言葉に甘えて……というのとは少し違う気もしますが、フッ……」

 高岡家の会話を黙って聞いていた千尋が、思わず噴き出した。

「ご両親の許可が出たということで、美絃? 今夜から寝室は一つにしような?」
「っっっ~~っ」

 妖艶な眼差しを向ける千尋。
 両親の視線も突き刺さって、美絃は今すぐ穴があったら入りたい、そんな気分だ。

**

「せっかくなので、泊まって行かれては……?」
「お気持ちだけ頂きます。邪魔者は退散しないとね♪」
「では、また連絡します」
「美絃を宜しくお願いします」
「はい」

 夕食を食べ終わった美絃の両親は、ホテルへとマンションを後にした。

「料理は美絃が一人で全部してるのかと思ったら、千尋さん、意外と料理上手で驚いたわ」
「楽しそうに料理してたな、二人」
「えぇ」

 ホテルへと向かうタクシーの車内で、美絃の両親は、キッチンで仲良く料理する二人の姿を思い出していた。
 娘の幸せそうな姿を目の当たりにして、美絃の両親は胸を撫で下ろした。

 千尋は海外赴任生活が長かったせいで、料理の腕もかなりなものだ。
 恵まれた環境で育ったこともあり、元々かなり舌が肥えている。
 何事も自分の力で乗り越えたいという精神が強く、仕事もスポーツも料理も、納得がいくまで突き詰めるタイプなのだ。

 家事スキルの高い美絃との生活は、千尋にとってもいい刺激で。
 時短料理だったり、片付けの手間だったり、目から鱗の生活が新鮮なのだ。

 今では料理でも買い物でも時間をつくっては、美絃と一緒にするほどになっていた。
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