敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
「誹謗中傷もそこまでだ」
「なっ、何を……、私は誹謗中傷なんてしてませんよっ」
「素直に認めるとは思ってないが、暴力行為を追加すると言っても白状するタイプには見えないな」
「それ、どういう意味ですか?」

 千尋の言葉に美絃は望月の顔を見据えた。
 すると、千尋は『報告書』と書かれたファイルを美絃に手渡す。
 そこには、匿名で掲示板に書き込んだ人物のデータIDが記されているだけでなく、今回の受注キャンセルの変更処理や、別の取引先に転送納品を指示した人物のデータIDが表示されていた。
『No.1863000524 望月 愛華』

「うちの会社は三年前から、どの社員が業務を請け負ったのか分かるように、パソコン内部にデータとして社員IDが記憶されるシステムになっているんだ。これは部長以上の重役しか知らない事項で、パソコンのデータからプリントアウトした印刷物にも暗号(番号)が記されている。そこからも誰がデータを扱っているのか分かるシステムになってるんだよ、望月さん」
「ッ?!」
「雑務を他人に押し付けて、成果だけを享受しようとするから、後輩に抜かされるんだ」
「っ……」

 確かに社内のコピー機で印刷した紙には、左下に暗号のようなものが記載される。
 もしかして、私がこなして来た他の人の業務分は、きちんと評価されていた……?
 
 美絃は更に綴られている書類をペラペラと捲ると、エレベーターの近くに立っている望月の姿を捉えた画像写真が数点。
 アングルからして、防犯カメラからのものだろう。
 その画像の日付を見ると、エレベーターの中で千尋さんに抱きしめられた日だと分かった。
 だってその日は、母親の誕生日だったから、しっかりと憶えている。


 更には千尋のマンションのエントランス前をうろつく望月の姿が防犯カメラに収まっていて、千尋はそれを今回の件とは別でストーカー行為で訴えることにした。

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