敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
「離して下さいっ!!」
「既に磯田部長には報告済みだ。一緒に専務の元に来て貰おう」
「っ……」
「美絃。今回の件は、全てこの女の仕業だ。美絃がミスを犯したわけじゃない」
「……でも、TK社に来週末までに全納しないとならないので、問題が解決したことにはならないです」
「それも解決済みだ」
「へ?」
「海外支社で抱える在庫を確認したところ、同じ型の商品を揃えることができたから、心配要らない」
「ホントですか?!」
「あぁ」

 美絃は漸くホッと安堵した。
 経緯はどうであれ、大口契約のTK社の信用を失くすわけにはいかないから、どうにかして策を練らないと……と必死だったのだ。

 千尋は望月を連れて、専務の元へ向かっていった。

 漸く不安から解消された美絃は、震え気味の手で丁寧に珈琲を淹れる。
 ここ数日、一生懸命対応してくれた同僚に差し入れるために。

 部署に戻り、珈琲を配っていると。

「よかったわね、高岡さん。潔白が証明されて」
「中曽根課長……」
「私ね、ずっと心配だったのよね。望月さんって、妙にあなたに突っかかるところがあったから」
「……ご心配おかけしてすみません」

 磯田部長から事の経緯が説明され、望月さんは人事部の処罰対象となったらしい。
 それに、千尋さんが海外支社で抱える在庫を把握してくれていたことが、最大のポイントだ。
 すぐさまTK社へ直納する手配をしてくれただけでなく、謝罪の意味も込めて、同じ型の商品だけれど、限定モデルやシリアルナンバー入りのプレミアムモデルを優先的に揃えてくれたらしい。
 国内販売では手に入らない稀少商品とあって、TK社の社長が偉く喜んでくれたそうで、来期の大口契約も無事に締結できたのだとか。

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