敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
「やっぱり社長の息子だと、対応が違うわね~」
「…………へ?」
「恋人の潔白を証明するだけでなく、ピンチをチャンスに変えるだなんて。気難しそうなイメージがあったけど、懐の深い人だと今回のことで皆分かったんじゃないかしら」

 中曽根課長の言っていることが半分くらいしか理解できない。
 千尋さんが仕事に対して妥協を許さないのは前からだし、優しい人柄なのは分かっていたけれど。
 …………社長の息子って、何?

「あの、課長」
「ん?」

 中曽根は美絃が淹れた珈琲を口にし、『よかったら、食べる?』と一口フィナンシェを差し出して来た。

「郡司部長が、……社長のご子息なんですか?」
「あら、知らなかったの? まぁ、そうよね。箝口令みたいなものが布かれてるから、若い子たちは知らないわよね」

 話を聞くと、大学を卒業と同時に入社&海外支社に赴任し、数か国の支社で実績を残して本社勤務となったそうだ。
 
「愛されてるわね~」
「……っっ」

 大口契約の未納トラブルを回避できただけでも肝が縮み上がっているというのに。
 社長のご子息だっただなんて……なんの御冗談を。
 美絃はこれまでのことを一気に思い返していた。
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