敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
 数日後のお昼休み。
 会社近くのお蕎麦屋さんで待ち合わせして、美絃は親友の佐々木(ささき) (いずみ)(二十八歳)と昼食をとる。
 泉は去年結婚し、現在妊娠五か月。
 安定期に入り、つわりも落ち着き、こうして気分転換に外出できるようになった。
 旦那さんは自衛官で、結構頻繁に家を留守にするらしい。
 出産を控えていて、不安はないのだろうか? と心配になる。

「赤ちゃんは順調?」
「すっごく順調! 育ちすぎてるくらいだよ」

 ぽこっと出始めたお腹に手を当てて、幸せそうに微笑む泉。
 大学時代からの仲だけれど、お人好しな性格の私を一目で気に入って、泉から『友達になって』と声をかけて来た。
 今では地元の友達よりも仲が良くて、お互いに親友だと思っている。

「そう言えば、両親問題、どうなったの?」
「それが、全然取り合ってもらえないまま」
「今時、ビデオ通話だって簡単にできるじゃない。それすらも嫌がるの?」
「……うん」
(ゆう)くんは? 夕くんに頼んでもダメ?」
夕輔(ゆうすけ)には会ってくれてる。三人でご飯とかも食べに行くけど、両親の話題を出すと不機嫌になるんだよね」
「でも、美絃の両親は会いたがってるんでしょ?」
「……うん」
「同棲してるんだし、一度くらいはきちんと挨拶してくれてもいいのにね」
「……だよね」
「いっそのこと、彼には内緒で両親呼んで、サプライズ食事会を仕掛けちゃうとか?!」
「あっ、それ……夕輔も同じこと言ってた」
「あははっ、夕くんと気が合うなぁ~」

 今年大学四年の弟・夕輔は、地元ではなく都内に就職したいらしく、卒業しても東京に残ると言っている。
 社会人の先輩として、姉の恋人として、誠二は夕輔のことを可愛がってくれてはいるけれど、『両親』というワードは拒絶されているみたいだ。
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