敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
 ゆっくりと跪いた彼が、美絃の両手を手に取り、真っすぐと見つめる。

「来年度から……副社長に就任する」
「ッ?! ほっ、……おめでとうございますっ!!」

 思わず声が裏返ってしまった。
 
 今回の件があってのことだろう。
『社長の後継者』というカードを使って、短期間で海外から商品を手配したのかもしれない。
 彼が社長令息だということが知れ渡るのは、恐らく時間の問題だ。

「副社長就任と同時に、……俺たちの婚約を公にしたいんだが、いいか?」
「…………はい?」
「言っただろ。俺は本気だって」
「……」
「好きでもない女の婚約者なんて、例えふりでも俺にはできない」
「……」
「初めて会った時から、俺の心には君しかいない」
「でも……、会社を継ぐとなれば、相応しい相手が……」
「それならここにいるだろ」
「……」
「寝ても覚めても、君を想わずにはいられない」
「っっ……」
「改めて、自己紹介させてくれ。羽田 千尋、三十三歳。来年の四月から『WING』の副社長に就任する。……どうだ? 超優良物件じゃないか?」
「……フフッ、何を言い出すかと思えば」

 彼はポケットから小箱を取り出し、それを開けた。

「重責かもしれないが、俺を支えてくれないか?」
「…………はい、私でよければ」

 美絃の左手薬指に一粒石のダイヤがあしらわれた指輪が嵌められた。

「これで、やっとご両親に挨拶できるな」
「あっ……」

 そうだった。
 まだ両親には嘘を吐いている状態だった。
 夕輔にもちゃんと話さないとな……。

「夜景が一番綺麗な季節だ。連休が取れたら、ご両親に会いに行こう」
「はい」

 季節は秋から冬へと変わろうとしている。
 今はスポーツのハイシーズンだからすぐには無理だろうけど。
 雪が積もる頃には、彼と函館の夜景を眺められたらいいな。

~FIN~
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