敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
その日の十九時過ぎ。
重い足取りで帰宅した美絃は、玄関に千尋の革靴があるのを確認し、深呼吸した。
「ただいま戻りました」
「おかえり」
まだスーツ姿のところを見ると、彼も帰宅して間もないのだと分かる。
「すぐにお夕飯の準備しますね」
「あっ、いや……、今日は外で食べよう」
「え?」
「色々と話しておきたいこともあるし」
「……はい」
美絃は何となく察して、ひっつめ気味に束ねているヘアゴムだけ取り、さらりと垂れた髪を耳にかける。
*
マンションから程近いバーレストランの個室で食事をとりながら、千尋さんは今回の出来事を丁寧に話してくれた。
しかも、三年前から導入されている『データ内個別IDシステム』(ログインパスワード必須)は、美絃のことを想い、正当な評価を受けれるようにと、小平さんの協力を得て、実装した仕様らしい。
「もう部長あたりから聞いてるかもしれないが、実は……『WING』の社長である羽田 圭一郎の息子なんだ」
「……そうなんですね」
「郡司という名は母方の姓で、会社を継ぐまでは伏せておくことを前提にこの会社に入社したから」
大学を卒業と同時に海外支社に赴任というだけでもエリート出世コースなのは間違いない。
海外事業部だなんて、エリート集団と言われる花形部署だ。
秘密にされていたのはショックだけれど、彼にも事情があってのことだし、主任とは名ばかりの平社員には問いただす権利すらない。
彼がセレブ育ちなのも納得だし、会社の上に立つ立場を幼い頃から学んで来たのだろう。
彼の懐が深いわけが分かった気がした。
望月さんは千尋さんが社長のご子息だと以前から知っていて、密かに狙っていたのだとか。
だから、彼のマンションに出入りする姿を撮られてしまったのだ。
「美絃?」
「……はい」
「それでなんだが……」
椅子から腰を上げた彼が、美絃の真横に移動した。
重い足取りで帰宅した美絃は、玄関に千尋の革靴があるのを確認し、深呼吸した。
「ただいま戻りました」
「おかえり」
まだスーツ姿のところを見ると、彼も帰宅して間もないのだと分かる。
「すぐにお夕飯の準備しますね」
「あっ、いや……、今日は外で食べよう」
「え?」
「色々と話しておきたいこともあるし」
「……はい」
美絃は何となく察して、ひっつめ気味に束ねているヘアゴムだけ取り、さらりと垂れた髪を耳にかける。
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マンションから程近いバーレストランの個室で食事をとりながら、千尋さんは今回の出来事を丁寧に話してくれた。
しかも、三年前から導入されている『データ内個別IDシステム』(ログインパスワード必須)は、美絃のことを想い、正当な評価を受けれるようにと、小平さんの協力を得て、実装した仕様らしい。
「もう部長あたりから聞いてるかもしれないが、実は……『WING』の社長である羽田 圭一郎の息子なんだ」
「……そうなんですね」
「郡司という名は母方の姓で、会社を継ぐまでは伏せておくことを前提にこの会社に入社したから」
大学を卒業と同時に海外支社に赴任というだけでもエリート出世コースなのは間違いない。
海外事業部だなんて、エリート集団と言われる花形部署だ。
秘密にされていたのはショックだけれど、彼にも事情があってのことだし、主任とは名ばかりの平社員には問いただす権利すらない。
彼がセレブ育ちなのも納得だし、会社の上に立つ立場を幼い頃から学んで来たのだろう。
彼の懐が深いわけが分かった気がした。
望月さんは千尋さんが社長のご子息だと以前から知っていて、密かに狙っていたのだとか。
だから、彼のマンションに出入りする姿を撮られてしまったのだ。
「美絃?」
「……はい」
「それでなんだが……」
椅子から腰を上げた彼が、美絃の真横に移動した。