幼なじみは狐の子。3〜その後の逆ハーレム〜
朝のホームルーム前、恋と理央はこの間の壁新聞の黒白王子の投票について話していた。
新聞部は高校に上がって伊鞠と桂香が居なくなった後も、その路線を引き継ぎ、恋と宗介と美風の三角関係について賑やかに新聞に書き立てていた。
「今年もうちの学校の黒王子は上野くんで決定!だってさ。」
恋の席に来て理央が口を開いた。
「クールな攻め系黒王子。あの冷たい瞳が堪らない……だって。投票箱設置されてた。まだ中間投票だけど。1年も3年もこぞって上野くんに入れてる。上野くん、二人三脚からうちの学校の有名人だもんね。」
「白王子は樋山くんになってた?」
恋が聞くと、理央は笑った。
「なってたなってた。今のところダントツ1位だって。あのルックスといい、あの振る舞いといい、やっぱり、なんて言ったって白王子は樋山くんだよねえ。」
「分かる。」
「正統派王道の優しい白王子。黒王子は攻めで敢えて言えば萌える意地悪する感じ。白王子はもっと甘い感じかな。2人の写真が貼られてたけど、別々に撮った奴だったよ。あの2人、並ぶと笑ってくれないもんね。」
「映り良かった?」
「うん、とっても。上野くんは真正面から映ってたんだけど、イケメン度合いが増して見えたよ。樋山くんは斜めから隠して撮ったみたいだった。気づくと撮らせてくれないからでしょう。」
「新田さん。駒井。」
文字の消してある黒板の方から美風がやって来て声をかけた。
「樋山くん」
「おはよう、白王子の樋山くん。」
「白王子?。何それ。何のこと?。……新田さん、駒井、相談なんだけど、今度プールに行く気はない?」
「プール?」
美風はファイルからチケットを取り出した。
「前住んでた町にあるんだ。大きいプールで、友達と行った事あるんだけど結構面白い。ウォータースライダーデカいのあって、何のプールでも揃ってて。チケットが余っちゃって。もったいないからさ。」
「良いね、行く行く。」
理央が言って、チケットを受け取った。
「宗介も誘っていい?」
「どうせ、駄目っていっても誘うんでしょう。癪。新田さんが上野と付き合ってるの。別れないか別れないかってずっと待ってるのに別れないし。死んでも認めたりなんかしないからね。」
美風は頬杖をついて、はあとため息をついた。
美風はできれば恋と2人か、恋と理央と行きたかったのだが、それではプールはお流れになりそうだ。
「今度の日曜、駅前に10時に。」
「チケット、まとめて持っといた方が良いよ。私持ってようか?みんなの分。」
理央が言った。
「僕が持ってても良いけど、じゃあ駒井に渡しとくよ。当日持ってきてね。なくさない様に。ないと買わなきゃならなくなって勿体ないから。それじゃ行く意味ないし。」
「分かった。ねえねえプール大勢で行った方が楽しいよ。他にも誰か誘っていい?」
「良いけど全員で20枚までだよ。誰誘うの?」
「えーとねえまず明日香でしょう……」
ニコニコしている恋の前で、美風と理央は当日の相談をし始めた。