アーサ王子の君影草 下巻 ~約束の箱庭にて、再び~
しかしハリも冷静に事実を交えながらも、最もらしい理由を述べる。
「……金細工の首輪飾りには、まだ解けていない魔像術の残滓があります。仰る通り、外すことは出来ましたが完全に無力化されたとは言い切れない──陛下の懸念は理解しています」
「そう。それが問題なのだよ」
「しかしながら、不適切な場所に移せば再発動の危険があるかもしれません。それはこの国ににとっても、スズラン嬢にとっても好ましくない筈です」
ハリは分かりやすく一拍置いてから〝強調〟した。
「ですから——専門家による検証が終わるまでは、私の手元で厳重に管理したいのです」
(半分は真実だ。でも残り半分は——誰にも触れさせない。〝これ〟は万理のものだ。あの人が父に奪われた全てを、せめてこの手で取り戻すための……)
鈴蘭は利用できる。彼女の事は心の何処かで嫌いではない、正直哀れだとさえ思う。しかし、同時に邪魔な存在でもある。あの封印を解かれたくはない。
憎むべき相手はただ一人。
愚父であり、ルゥアンダ帝国の皇帝。
闍隍・L・ファナクス───。
(万理だけだ。唯一、僕の名前を呼んでくれる存在は。僕は……万理の為ならどんな役でも演じられる)
故に、ハリの心情は一直線ではなく矛盾だらけだ。少しづつ顬の奥の痛みが増していく中、ハリは強い眼差しで王に向けた。
「……金細工の首輪飾りには、まだ解けていない魔像術の残滓があります。仰る通り、外すことは出来ましたが完全に無力化されたとは言い切れない──陛下の懸念は理解しています」
「そう。それが問題なのだよ」
「しかしながら、不適切な場所に移せば再発動の危険があるかもしれません。それはこの国ににとっても、スズラン嬢にとっても好ましくない筈です」
ハリは分かりやすく一拍置いてから〝強調〟した。
「ですから——専門家による検証が終わるまでは、私の手元で厳重に管理したいのです」
(半分は真実だ。でも残り半分は——誰にも触れさせない。〝これ〟は万理のものだ。あの人が父に奪われた全てを、せめてこの手で取り戻すための……)
鈴蘭は利用できる。彼女の事は心の何処かで嫌いではない、正直哀れだとさえ思う。しかし、同時に邪魔な存在でもある。あの封印を解かれたくはない。
憎むべき相手はただ一人。
愚父であり、ルゥアンダ帝国の皇帝。
闍隍・L・ファナクス───。
(万理だけだ。唯一、僕の名前を呼んでくれる存在は。僕は……万理の為ならどんな役でも演じられる)
故に、ハリの心情は一直線ではなく矛盾だらけだ。少しづつ顬の奥の痛みが増していく中、ハリは強い眼差しで王に向けた。