アーサ王子の君影草 下巻 ~約束の箱庭にて、再び~
領主 アルマンディーと息子であるブラッドフォードは、その圧に晒されながらも、武ではなく智をもって退けてきたのである。
ジャコウ皇帝は、会議の場において決まってオゥ鉱脈都市に干渉し、その立場を揺るがそうとした。
七つの国の中で、ただ一国。オゥ鉱脈都市を〝国〟として認めようとしなかったのも、他ならぬルゥアンダ帝国であった。それは、シュサイラスア大国の傘下に属しても変わる事はなかった。
そして。オゥ鉱脈都市からルゥアンダ帝国へと嫁いだ貴族の娘──アガタ。その家族が、その状況に何を思っていたのかは、想像に難くない───。
「何故……彼がこの国におられるのです」
静かに発せられたその問いには、緊迫が滲む。
ライオネルは瞼を伏せたまま、ゆっくりと言葉を選んだ。これまでの経緯──ハリの存在。この国に留めている理由を淡々と、だが誤魔化すことなく語る。
全てを聞き終えたあとも、ブラッドフォードの表情は変わらなかった。
「──困窮した者には出来るだけ力を貸す。かの内乱後は、特にそうしてきたよ」
「……成程」
そう呟いたものの、その声に納得の色はない。
むしろ確信に近い疑念が宿っている。
その様子を見て、ラインアーサは小さく息を吐いて一歩前に出る。
「父上。俺が直接確かめてきます」
責めるでもなく諭すでもない、ブラッドフォードのただ一言。
「アーサ……」
胸の奥がざわついていた。ラインアーサは誰の返事も待たず踵を返した。
ジャコウ皇帝は、会議の場において決まってオゥ鉱脈都市に干渉し、その立場を揺るがそうとした。
七つの国の中で、ただ一国。オゥ鉱脈都市を〝国〟として認めようとしなかったのも、他ならぬルゥアンダ帝国であった。それは、シュサイラスア大国の傘下に属しても変わる事はなかった。
そして。オゥ鉱脈都市からルゥアンダ帝国へと嫁いだ貴族の娘──アガタ。その家族が、その状況に何を思っていたのかは、想像に難くない───。
「何故……彼がこの国におられるのです」
静かに発せられたその問いには、緊迫が滲む。
ライオネルは瞼を伏せたまま、ゆっくりと言葉を選んだ。これまでの経緯──ハリの存在。この国に留めている理由を淡々と、だが誤魔化すことなく語る。
全てを聞き終えたあとも、ブラッドフォードの表情は変わらなかった。
「──困窮した者には出来るだけ力を貸す。かの内乱後は、特にそうしてきたよ」
「……成程」
そう呟いたものの、その声に納得の色はない。
むしろ確信に近い疑念が宿っている。
その様子を見て、ラインアーサは小さく息を吐いて一歩前に出る。
「父上。俺が直接確かめてきます」
責めるでもなく諭すでもない、ブラッドフォードのただ一言。
「アーサ……」
胸の奥がざわついていた。ラインアーサは誰の返事も待たず踵を返した。