幼なじみは狐の子。4〜狐の子の思い〜




 そこへ現れたのは宗介だった。

 今日は一緒に登校せず、宗介の方が遅れて学校に来たのだ。

 宗介は恋が背中で隠そうとした壁新聞に気付いた。


「見せて。」


 恋をのけて、壁新聞の写真を見た時の、宗介の見開かれた目。


「浮気発覚!」


 伊鞠がポーズを作って言って、桂香が拍手した。

 逃げ出そうとした恋の襟首を掴んだ宗介は、次に恋の手首を掴むと、ニッコリと笑顔を作った。


「年下と浮気ね。」


 宗介が言った。


「僕がそれをどう思うか考えた事ある?。頭来る。やっぱり、向井も絶対邪魔者だ。僕に内緒で遊びに行ったね!これ日曜?。僕んちに誘ったら用事があるからって断ったのに!。どうかしてる。おまけに新聞にすっぱ抜かれて!。いい笑いものだよ。お前を信用してたのに!」

 
 それから、

 
「次は罰。先に聞く。恋、ごめんなさいは?」


 と恋を見おろして乾いた声で聞いた。


「言っても打つよ……」

「当ったり前。お仕置きはごめんなさいを聞いてから。」

「……」

「もう二度としないと約束するなら一発で許してやる。ったく。最低。最悪。恩知らず。この裏切り者。」

「……」


「早くしないとおまけにげんこ食うよ。」

 

 恋が小声でごめんなさい、と呟くと、宗介が恋の頬をパン!と思い切りひっぱたいた。

 同時にパシャリ!と音がして、恋が目を開けるとカメラを持った伊鞠と桂香のほくほくした顔。


「うーんいい写真が撮れた!。今度の記事は、この記事の続き。浮気して彼氏からビンタを食らう三角関係の頂点……ビンタは話題集めになる良いネタなのよ。」
 


 と、そこへ美風が現れた。

 美風は壁新聞の下のテーブルにある写真部のお知らせを取りに来たのだ。

 美風は恋が打たれるのを見ていた。
 美風が宗介を睨んだ。


「何するんだよ」

 
  美風が恋の頭を肩に寄せると文句を言った。


「浮気者には厳罰を。当然だろ。」

「上野は暴力的。大した浮気でもないのに頬を打つなんて。それもこんなに強く。女の子なんだから、軽くで充分ショックだろ。新田さん、痛かったでしょ?。上野、かわいそうだと思わないのかよ。」

「お前には関係ない。樋山は黙ってろよ。浮気したらそうされるって覚えなきゃ懲りずにまたやるんだから。今回は痛いビンタ食ってしっかり覚えたね。よくよく反省。恥ずかしいと思いなよ。恋?。」

「絶対暴力。打たれた所跡が付いてる。僕に謝れ。」

「時に新田さん、ビンタを食った直後のヒーローインタビューよ。気分はどう?」

「複雑な気分です。」


 伊鞠の質問に恋が泣き笑いで恋が応えると、宗介が怒り笑いした。

 
「懲りてないね?。」


 宗介と美風はそれからしばらく言い合いをしていた。
 










< 65 / 94 >

この作品をシェア

pagetop