この恋を実らせるために

腰に手を回され歩かされる。

玄関も広くて圧倒されていると奥からお母さまと思われる女性が現れた。

「いらっしゃい。待ってたのよ」

「ただいま。母さん」と達也さんが言うとお父さまらしい人まで出迎えてくれた。

「いらっしゃい。かわいらしいお嬢さんだね」

「こんばんは。堀田知春と申します」

「こんなところではなんですから、上がってちょうだい」

「あのこれ、皆さんで召し上がってください」

私は手に持っていた菓子折りを渡すと「あら、ここのチーズケーキ。私が好きなお店だわ」とお母さまはにこやかに笑ってくれた。

もちろん達也さんが選んだのだから、お母さまの好物なのはわかっていたけど、喜んでもらえてホッとする。

達也さんの実家は応接間も豪華で圧倒されたが、お父さまとお母さまは私を受け入れてくれたようでひと安心した。

達也さんの実家は名前を知らない人はいないという有名な不動産会社だった。その名前を聞いた私は、達也さんが住んでいるあのマンションの意味を理解した。

達也さんには結婚されているお兄様とお姉様がいるらしい。今日はお会いできなかったけど、仲良くしてもらえたら嬉しいな。

達也さんのマンションに着いて中に入ると想像通りに広いお部屋だった。

2人でソファに座りワインの入ったグラスを傾ける。

「後は知春のご両親に挨拶するだけだな。式はいつにしようか。先に入籍だけする?」

「達也さん、私の親に会ってもいないのに気が早すぎです」

「それって知春のご両親に認めてもらえないかも、ってこと?」

「うーん、どうでしょう? もし、反対されたらどうするんですか?」

「認めてもらえるまで頑張るだけだよ。知春とずっと一緒にいたいからね」

ニコリと笑顔で答える達也さんに寄り添い、私も答える。

「私も達也さんとずっと一緒にいたい。だから、どんなことがあっても乗り越えていきます」

「ずっと一緒に」と今ここで誓いあう。見つめ合うと自然と唇が重なった。

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