愛しているのは私だけ⋯⋯
声が聞きたくなると、時間関係なく電話するわ、淋しいと言って泣いて、無理してでも会ってもらうわ、デート先に無理なリクエストもするわ⋯⋯。

こんな調子なら、さっさと振られていたとしても、本当ならおかしくないだろう。

それでも、上杉さんはいつだって付き合ってくれた。

しかし、最近ふと気付いたのだ。

私は、いつだって上杉さんの声が聞きたいし、会いたいと思うけれど、上杉さんは?

付き合ってはくれたけれど、上杉さんの口から、一度も好きだと言われたことはない。

それに、付き合って1年以上経つのに、何の進展もないままだ。

一線を越えるどころか、キスもしていなければ、ハグすらもない。

それよりもっと気になったのは、上杉さんから電話がかかってきたことがないこと⋯⋯。

試しに、一日だけ電話せずに待ってみた。
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