愛しているのは私だけ⋯⋯
上杉さんの表情に、少しでも迷惑そうな色が見えたら、ボランティアをやめようとさえ思って。

「上杉さん」

「ん?」

私は、周囲に人がいないのを確認すると、

「あの、私⋯⋯上杉さんのことが好きなんです。こうして、ただ図書館で話すだけでは、もう苦しくて⋯⋯」

かなり直球だったと思う。

そもそも、大人同士ならば、デートすらしたこともないのに、こんな風にいきなり告白なんてしないだろう。

まるで中高生⋯⋯それも頭では判っていた。

それでも、心は止められなかったから。

上杉さんは、かなり驚いた様子ではあったが、

「瑤ちゃん、こんなオジサンでいいの?」

静かに尋ねてきた。

「上杉さんは、オジサンじゃありません!まだ20代でしょう?むしろ、同年代の男の子には、全然興味がなくて⋯⋯」

「本当?ありがとう。嬉しいよ」
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