さくらのかみさま
ここは北の大地、襟裳。
お小さい桜の神様の長い長い旅も、ここで終わりです。
今年も日本中に薄紅色の便りが届き、
お小さい神様のお心も喜びで満ちあふれていました。
神様は、
最後の桜の木に、うんしょとよじ登られ、振り出しをしゃん、と振りました。
すると、
北の大地の厚い厚い雪がみるみる溶けはじめ、海からは青空が広がり、
桜の枝では星のような金平糖がきらめきます。
そして、つぼみが、むくむく、むくむくと大きくなり始めました。
神様は、
しばし枝に立たれて海の方を見ました。
「海に出た父たちも桜が咲く頃、無事に浜に帰ろうぞ」
そして、
「母上様、私もじきに帰ります」
お小さい神様は、また、西へ向かって歩きはじめたのでした。
2025.10.08
蒼井深可 Mika Aoi
お小さい桜の神様の長い長い旅も、ここで終わりです。
今年も日本中に薄紅色の便りが届き、
お小さい神様のお心も喜びで満ちあふれていました。
神様は、
最後の桜の木に、うんしょとよじ登られ、振り出しをしゃん、と振りました。
すると、
北の大地の厚い厚い雪がみるみる溶けはじめ、海からは青空が広がり、
桜の枝では星のような金平糖がきらめきます。
そして、つぼみが、むくむく、むくむくと大きくなり始めました。
神様は、
しばし枝に立たれて海の方を見ました。
「海に出た父たちも桜が咲く頃、無事に浜に帰ろうぞ」
そして、
「母上様、私もじきに帰ります」
お小さい神様は、また、西へ向かって歩きはじめたのでした。
2025.10.08
蒼井深可 Mika Aoi


