さくらのかみさま
そして、桜の木にも、たっぷり金平糖を振りかけました。
「まぁ」
そうしたら、
雪が溶け、
山の桜のつぼみはふくふくとふくらみ始めたのです。
「お団子とお茶をください」
「はい、只今」
神様がとうげの茶店でご一服なさっていると、
「こん、こん」
店の中から、せきをする声が聞こえました。
「誰がせきをしているのですか」
「あぁ、桜の神様、申し訳ございません」
神様がお団子とお茶を持って来た娘に聞くと、
娘は顔をしかめて言いました。
「うちのお婆様が、昨年からずっとあんな調子なのです。
せきが止まらず、お医者に見せても一向に良くなりません」
「ほう」
桜の神様はこくりとうなずいて、
「じゃあ、これを、ひとつお婆様に差し上げます」
そう言って振り出しの中から桜の金平糖をひとつ、愛らしいお手てに出しました。
「ありがとうございます」
娘はそう言って、金平糖をささげ持ち、お婆さんが伏している布団へ行き、
「お婆様、桜の神様からありがたい金平糖をいただきましたよ」
金平糖を食べさせたら、
あら不思議。
お婆さんのせきはあっと言う間に止まり、
「神様、ありが、」
神様がいらっしゃった外の席にはもう誰もおらず、
お団子とお茶のお代だけがあり、
頭の上の桜のつぼみが、ふくふくとふくらみはじめていました。
「やっとここまで来た」
「まぁ」
そうしたら、
雪が溶け、
山の桜のつぼみはふくふくとふくらみ始めたのです。
「お団子とお茶をください」
「はい、只今」
神様がとうげの茶店でご一服なさっていると、
「こん、こん」
店の中から、せきをする声が聞こえました。
「誰がせきをしているのですか」
「あぁ、桜の神様、申し訳ございません」
神様がお団子とお茶を持って来た娘に聞くと、
娘は顔をしかめて言いました。
「うちのお婆様が、昨年からずっとあんな調子なのです。
せきが止まらず、お医者に見せても一向に良くなりません」
「ほう」
桜の神様はこくりとうなずいて、
「じゃあ、これを、ひとつお婆様に差し上げます」
そう言って振り出しの中から桜の金平糖をひとつ、愛らしいお手てに出しました。
「ありがとうございます」
娘はそう言って、金平糖をささげ持ち、お婆さんが伏している布団へ行き、
「お婆様、桜の神様からありがたい金平糖をいただきましたよ」
金平糖を食べさせたら、
あら不思議。
お婆さんのせきはあっと言う間に止まり、
「神様、ありが、」
神様がいらっしゃった外の席にはもう誰もおらず、
お団子とお茶のお代だけがあり、
頭の上の桜のつぼみが、ふくふくとふくらみはじめていました。
「やっとここまで来た」