幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
学校から帰って、恋は宗介の家に行った。
チャイムを鳴らすと宗介は制服のシャツのまま玄関に出てきた。
宗介に続いて恋がリビングに入って行くと、宗介は昔の写真を見ていた所だった。
「この写真、恋がちょっとひしゃげてる。」
宗介がソファに座り直しながら無味乾燥な声で整理していた写真を1枚放ってよこした。
宗介と恋の映っているその写真は、撮り方で恋の顔が伸びてひしゃげて映っていた。
「捨てていい?」
「一応取っとく。記念に。」
宗介は恋から写真受け取ると、また封筒に戻した。
「15年。」
宗介が呟いた。
「僕とお前は生まれたときから知り合いだから、知り合って15年なんだ。」
「……」
「15年間の間の自我で、お前は何を考えた?」
宗介はテーブルの上から眼鏡ケースを取り出して、眼鏡を出した。
「僕の事分かち難いって思ってくれた?。それとも何にも思わなかった?」
眼鏡を布で拭きながら宗介が写真に俯いた。
「あのさ」
宗介が口を開いた。
恋はお茶を飲んでいた所に声を掛けられたので、思わず噎せて、お茶は喉の変な所に入った。
「ゴホッゴホっ」
「……」
咳をしている恋に宗介は呆れ顔をした。
「しっかりしろよ。お茶はゆっくり飲む。急に飲み込まない。」
宗介は恋の背中をぽんぽん叩いた。
「……」
「まったく。大丈夫?」
咳が治った恋は聞いた。
「宗介、何を言おうとしてたの?」
「……」
宗介はちょっと考える顔をしてからこう言った。
「別に。ただ僕は、自我の働きをたまに考えるんだ」
恋が首を傾げると宗介が微笑んだ。
「僕の意識全部で、お前を愛してるって思うよ。」