副業家政婦の仕事に『元彼社長からの溺愛』は含まれていないはずなのに
「驚いてしまうかもしれないけれど、実は紬の本当のパパなんだ」
「ぱぱ……?」
「そう。事情があって、しばらく会えてなかったけど、本当に紬のパパなんだ」

 突然、紬に真実を話してしまう彼に、私の方が慌てる。
 だけど、紬はじっと彼の顔を見つめたままだった。

「ほんとうに、つむぎの、パパなの?」
「そうだよ」
「じゃあ、これからもずっといっしょだね!」

 くしゃりと笑って紬が彼に抱きつく。彼も紬を抱き締めると、優しく頭を撫でた。

「これからも、紬のパパとして傍にいていい?」
「うん!」

 そんなやり取りを見せられてしまっては、もう何も言えなくなる。
 再び泣き出す私を彼が手招いた。

「おいで、波留」
「……はい」

 素直に二人の元まで向かえば、彼が紬を抱っこしたまま、私の唇を軽く奪っていく。

 それを見た紬が「ママとパパなかよし!」とキャッキャッと騒ぐものだから、私はしばらくの間、真っ赤な顔で俯くことしかできなかった。
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