副業家政婦の仕事に『元彼社長からの溺愛』は含まれていないはずなのに
「波留が好きだと言ってくれるまで離さない」
「慎也さん……っ」
「もう二度目はなしだ。俺から、理由もなく離れるなんて許さない」

 顎の下を持ち上げれ、彼の顔が近づいてくる。強引なのに、柔らかなキスを送られて、パニックになった私は彼を突き飛ばしてしまった。

「っ……!」
「ご、ごめんない!」

 今の騒ぎで紬が起きてしまったのか、ママ? と声を掛けられてハッとする。
 私は紬を抱きかかえると、そのまま逃げ出そうとした。だけど、

「二度目はないって言っただろ」

 すぐに後ろから彼に抱きとめられてしまう。
 紬も紬で、私のことを無垢な目で見上げるものだから、その場から動けなくなってしまった。

「なぁ、紬……ちゃん。聞いてほしいことがある」
「なぁに?」

 慎也さんが私の腕から紬を抱き上げる。紬も嫌な顔をせず、彼の体にくっついた。
< 56 / 60 >

この作品をシェア

pagetop