代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
本日、お見合い日和
「はじめまして、西条 八尋と申します。本日はお越しくださり、ありがとうございます」
緊張して席に着く七海の向かいから、丁寧な挨拶がある。
黒いスーツをピシッと着こなし、やわらかそうな黒髪を爽やかにセットした彼は、本日のお見合い相手である。
顔立ちも非常に整っていた。
涼やかな一重の目元に、スッと通った鼻筋。
薄めのくちびるの形も良く、頬には微笑が浮かんでいる。
前髪は軽く横に流されていた。
第一印象から、とても好感を持てる見た目だったけれど……。
(あれ……? なんか、既視感……?)
赤地に大きな花柄の入った振袖姿の七海が最初に思ったのは、それだった。
会ったことがあるどころか、今回のお見合い話があるまで、彼の名前も知らなかったのに。
でもそんなことを気にしている場合ではなかった。
緊張を抱えながら、七海は小さくお辞儀をした。
アップにした髪につけた髪飾りが、しゃらっと揺れる。
「大平 一華と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
でも名乗ったのは自分の名前ではない。
この名乗りは、何度もイメトレをして、実際に口に出して練習もしたけれど、実際にお見合い相手を前にすれば、このお見合いが偽りのものなのだと強く実感してしまう。
(ああ、やっぱりこの方にも一華ちゃんにも悪いよ……。早く終わらないかな……!)
微笑を浮かべつつも、内心ではそんな悲痛な思いが浮かぶ。
それでも振袖の美しい花柄の上で、ぎゅっと手を握る。
(そのためにも、今日の場はしっかり振る舞わないと……!)
強く決意した。
泣き言を胸の中で言ってもなんにもならない。
それならば、今日、この時間に自分に課せられた任務を遂行するまでである。
緊張して席に着く七海の向かいから、丁寧な挨拶がある。
黒いスーツをピシッと着こなし、やわらかそうな黒髪を爽やかにセットした彼は、本日のお見合い相手である。
顔立ちも非常に整っていた。
涼やかな一重の目元に、スッと通った鼻筋。
薄めのくちびるの形も良く、頬には微笑が浮かんでいる。
前髪は軽く横に流されていた。
第一印象から、とても好感を持てる見た目だったけれど……。
(あれ……? なんか、既視感……?)
赤地に大きな花柄の入った振袖姿の七海が最初に思ったのは、それだった。
会ったことがあるどころか、今回のお見合い話があるまで、彼の名前も知らなかったのに。
でもそんなことを気にしている場合ではなかった。
緊張を抱えながら、七海は小さくお辞儀をした。
アップにした髪につけた髪飾りが、しゃらっと揺れる。
「大平 一華と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
でも名乗ったのは自分の名前ではない。
この名乗りは、何度もイメトレをして、実際に口に出して練習もしたけれど、実際にお見合い相手を前にすれば、このお見合いが偽りのものなのだと強く実感してしまう。
(ああ、やっぱりこの方にも一華ちゃんにも悪いよ……。早く終わらないかな……!)
微笑を浮かべつつも、内心ではそんな悲痛な思いが浮かぶ。
それでも振袖の美しい花柄の上で、ぎゅっと手を握る。
(そのためにも、今日の場はしっかり振る舞わないと……!)
強く決意した。
泣き言を胸の中で言ってもなんにもならない。
それならば、今日、この時間に自分に課せられた任務を遂行するまでである。
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