代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました～社長令息は初心な彼女を溺愛したい～

「もしご都合が空いておられましたら、同伴してはいただけないでしょうか？　女性のパートナーが必要なのですが、頼んでいたお相手の都合が悪くなってしまい……」

　七海の危惧は当たった。

　少し申し訳なさそうに、しかし前向きな顔で、八尋がそう説明する。

「まだお話もまとまっておりませんのに、代役をお願いするなど、不躾なのはわかっています。ですが、もちろん形だけの同伴で良いのです。相応のお礼は致しますし、手伝ったから結婚話を進めろとも言いませんので……」

　八尋の説明は続いた。

　しかも内容も話し方も、七海の耳には切実に聞こえた。

　本当に困っているなら、断るのも悪い、という気持ちになる。

（もちろん一華ちゃんとして振る舞わないとなんだよね……。今日だけだと思ってたのに、もう一回、増えちゃうのか……心配だけど……）

　悩んだ七海だったが、そこで八尋が違うことを言った。

「それにまだ短時間ですが、一華さんと接して、素敵な方だなと思いました。立ち振る舞いも、会話中にお気遣いしてくださるのも……。ご一緒できたら嬉しいな、と」